サクラとは
自生種と栽培品種
日本にある桜には、元々野山にあった野生の桜(自生種)と、人間が栽培し名前を付けた栽培品種(里桜)があります。
自生種(野生の桜)
日本に自生する桜は、山桜・大山桜・霞桜・大島桜・江戸彼岸桜・豆桜・丁子桜・高嶺桜・深山桜の9種類です。
栽培品種
対する栽培品種は世界に例を見ないほど多く、「染井吉野」「普賢象」「関山」「御車返し」「御衣黄」.....など、実に300種とも400種とも言われています。
自生種に見る桜の特徴=自家不和合性
桜は人と同じように、特定の他個体、他系統の株とでなければ有性生殖しません(=同じ遺伝子では生殖しないということです)だから自生の山桜は1本1本全て違う遺伝子を持つわけです。
桜川のサクラとは
「桜川のサクラ」は自生種の山桜です
自生の桜は1本1本すべて違う
自生する山桜は、人間と同じように1本1本花の形・色も様々で、開花時期や咲き方も異なります。多くの山桜は花と一緒に様々な色の芽(葉芽)が開きます。葉の裏側が白っぽいので見分ける事が出来ます。
ソメイヨシノ以前は「桜」と言えば「山桜」を指しました
ソメイヨシノが誕生したのは江戸末期のことで、本格的に普及したのは明治以降と言われます。それ以前は、「桜」といえば、それは「山桜」を指しました。
万葉の昔より、様々な歌に詠まれてきた山桜ですが、ソメイヨシノをはじめとする園芸品種による派手な花見の名所が日本全国に普及すると、急速に人々の関心を失っていきました。しかし、社会が成熟し、人々の嗜好が多様化する中で、日本古来の桜である山桜がまた注目を集めつつあります。
「桜川のサクラ」の魅力は多様性
とかくお花見というと「群桜」の迫力、その多さばかりに注目しがちですが、山桜の1本1本の「花」をご覧になってみてください。きっと、その多様性に驚かれることでしょう。
変異の多い自然の桜は、どれもが「世界に一つだけの花」なのです。「磯部の百色桜」とも呼ばれてきた「桜川のサクラ」の魅力は、まさにこの多様性にあります。
ソメイヨシノとは
日本を席巻した“スーパー桜”ソメイヨシノ
ソメイヨシノが誕生したのは江戸末期
江戸染井村(現在の豊島区駒込)の植木職人が作出した大島桜と江戸彼岸の交配種で、当初は「吉野桜」として売り出されました。その後、吉野山の桜と混同して紛らわしいということで、「染井吉野」に改名されました。
日本に咲くサクラの80%はソメイヨシノです
葉より先に花が咲き、花付きが良いことから明治以降に流行しました。戦中は「一斉に咲き、一斉に散る」その特徴を「散り際の潔さ」として戦意高揚に利用され、戦勝記念にまた植えられました。
成長の早さ、管理のしやすさから、戦後各地の花見の名所づくりに大量に植樹され、今日に至っています。
ソメイヨシノはたった1本の木から接ぎ木で増やされてきました
種から育てられない(=クローン) なので、九州のソメイヨシノも青森のソメイヨシノもまったく同じ遺伝子構造を持っています。よって、同じ場所では一斉に咲き、一斉に散るわけです。「桜前線」はクローンであるソメイヨシノだからこそ生まれた言葉なのです。
成長の早さからか寿命が短い(約60年)と言われています
宿命的に持つ病気「天狗巣病」の蔓延もあり、近年は染井吉野に代わる桜を植えるところも多くなってきました。 ※(財)日本花の会では現在、染井吉野の育成・配布を行っていません。
サクラサク里プロジェクトの寄稿したコラムも是非ご覧ください